「犬の社会化」って、聞いたことがありますか?
犬をしつける上で大事なこととは知っていても、具体的に何をやればいいのかがよく分からない人も多いと思います。
簡単にいうと社会化とは、犬が人間社会での生活に慣れることです。
犬の幼少期の社会環境は、成長後の性格や行動に大きく影響するといわれています。
子犬を迎える飼い主さんなら知っておきたい、犬の社会化のこと。
そこで本記事では、犬の社会化についてわかりやすく解説していきます。
社会化ができているワンちゃんは、不安や恐怖を過度に感じることなく落ち着いています。
犬の社会化を学び、愛犬との暮らしをより良くしていきましょう。
目次
犬の社会化とは
犬の社会化とは、人間社会の環境に慣れ、様々なものに柔軟に対応できる力を養うことです。
人と暮らす日常の中で見るもの、ふれるものに徐々に慣れていくことで、人間社会は怖くない、危険ではないと知り、警戒心からくるストレスを軽減できます。
犬の社会化は成犬でも訓練によりある程度は学習できますが、警戒心より好奇心がまさる柔軟な子犬の時期は、いろいろなものに慣れさせる絶好の機会です。
子犬を迎え入れた飼い主さんは、ぜひ社会化を意識した育て方を心がけてくださいね。
犬の社会化期の理想的な環境
犬種や個体によって多少の差があるものの、犬の社会化期はおおよそ生後3週から12週くらいまでといわれています。
この時期は「感受期」とも呼ばれ、犬が社会化を受け入れやすい重要な時期です。
社会化期の前半(8週頃まで)は犬との社会化が、後半(8週から12週頃)は人間との社会化が促進しやすいといわれています。
社会化期前半(生後8週頃まで)
母犬やきょうだい犬と過ごしながら、自分が犬であること、犬としてほかの犬にどうふるまうべきかを学ぶ時期です。
きょうだい犬とのじゃれ合うような遊びを通して、咬む力の加減やボディランゲージの使い方をおぼえます。
また、子犬の遊びが乱暴過ぎたり咬む力が強すぎたりする場合には、母犬が唸り声をあげて子犬を威嚇したり、ひっくり返したりといった行動で叱りつけます。
このように、子犬が社会化期前半を母犬やきょうだい犬と一緒に過ごすことは、社会化を促進する意味でとても重要なのです。
したがって、生後8週までは母犬やきょうだい犬と引き離すべきではありません。
2021年6月1日施行「改正動物愛護管理法」により、生後56日以下の子犬の販売は禁止されました。
わが家の愛犬アイルは生後9週目までブリーダーのもとで母犬・きょうだい犬と一緒に過ごしてから、うちへやってきました。
とてもやんちゃでしたが、新しい環境にすぐに慣れてくれましたよ♪
下の写真は、きょうだい犬と過ごしていた頃のアイルです(左の黒い子)
そして現在のアイル。人懐っこくて陽気な子です。
社会化期後半(生後8週から12週頃まで)
多くの子犬が飼い主へ迎え入れられるのが、生後8週以降の社会化期後半です。
社会化期前半に母犬やきょうだい犬と過ごし、犬同士のコミュニケーションを学んだ子犬は、その後の「人との社会化」が促進しやすいといわれています。
とはいえ、生後8週以降の社会化期後半は、未知の刺激への警戒心が徐々に芽生える段階でもあります。
子犬を怖がらせることなく、少しずつ人間と暮らす環境に慣れさせましょう。
犬の社会化が不十分だとどうなるの?
社会化が十分に行われなかった犬は、不安や恐怖から次のような問題を引き起こす可能性があります。
- 過度に吠える、咬みつく
- ひとりで留守番ができない(分離不安)
- 病院やペットホテルに預けられない
様々なものに慣れさせ、人間社会は怖くない、危険ではないことを学ぶ機会を少しずつつくってあげましょう。
以前は、社会化は「生後8週から12週頃までの限定された期間」だけに起こり、それ以降は起こらないといわれていました。
しかし現在では、社会化に最も適した時期はあっても、少しずつ慣れさせる訓練を続けることで、成犬になってからでも社会化を学習できるといわれています。
犬の社会化ってなにをやるの?我が家で実践したこと4つ
子犬が、日常のなかで目にする様々なものに慣れて「怖くない、大丈夫」と学んでいくのが社会化トレーニングです。
幼少期の社会化がうまくいき、陽気で人懐っこい性格に育った、わが家の愛犬アイルに実践したことのうち、特に大事だと感じた4つを紹介します。
人に慣れさせる
いろいろな人と会わせる機会を、意識して多くつくりました。
屋外での散歩が可能となるのはワクチン接種が完了する生後4か月からですが、その時期を待たずに抱っこしてペットショップへ連れて行ったり、うちへ家族や友人などを招いて遊んでもらったりしました。
我が家の愛犬アイルはまだ好奇心のかたまりのような時期だったので、初対面の人に対しても毎回大喜び♪
5歳になった今でも、人が好き!という性格は変わりません。
警戒心の少ない幼少期に、人に対し「良い印象」を持たせることが大事です!
犬に慣れさせる
抱っこしたままペットショップへ入り、他の犬を見せるということを何度か繰り返したあと、生後4か月のときに、パピー(子犬)教室へ参加しました。
アイルはすぐにほかのワンちゃんと元気に追いかけっこしていましたが、必ずしもフレンドリーにあいさつできるようにならなくてもよいのではないでしょうか。
他の犬に慣れさせることが大事です。
「人は大丈夫でも犬が苦手な子」って多いです。近くに犬がいても落ち着いていられたら、それで十分ですよ。
体を触られることに慣れさせる
体のどこを触られても嫌がらないようにするトレーニングは、すぐにやりました。
歯磨き、ブラッシング、病院での診察やトリミングなど、人に体を触られる機会は普段から多くあるからです。
アイルもはじめは頭を触られるのを嫌がっていましたが、おもちゃやオヤツを使って楽しいこととセットでやり続けることで、少しずつ慣れていきました。
音に慣れさせる
日常の中で聞こえてくる様々な音に、反応して吠えることなく落ち着いていられるトレーニングも大事です。うちはマンションなので、吠えたら大変。
掃除機やドライヤーといった生活音や車の走行音などを、毎日少しずつアイルに聞かせ続けたら、早い時期にだいぶ慣れてくれました。
雷や花火の大きな音は今でも怖がりますが、そんなときはオヤツを与えて「いいこと」も同時に感じさせることで、ストレスを弱めるようにしています。
犬の社会化を行う際の注意点
犬の社会化を行うときに、気をつけてほしい注意点はひとつ。
決して、犬に無理強いしないことです。
たとえ1度の出来事であっても、いったん恐怖として記憶されてしまうと成長後の行動に大きな影響を与える場合があるからです。
子犬になにかを慣らそうとするときは、怖がっていないか常に様子をみながら行うようにしてください。
社会化は、犬に楽しい思いをさせながら行うことがポイントです。
まとめ:社会化で愛犬との暮らしをより良いものに
犬の幼少期の社会環境は、成長後の性格や行動に大きな影響を及ぼします。
様々なものに少しずつ慣れることで、
人間社会は怖くない→危険じゃない→大丈夫→楽しい!
と学び、不安や恐怖を過度に感じず、いつでも落ち着いていられるワンちゃんに育ちます。
犬の社会化とは、人間社会に慣れること。
無理なく楽しみながら社会化に取り組み、愛犬との暮らしをより良いものにしていきましょう。
この記事を書いている僕も、愛犬アイル(コーギー♀5歳)を生後2か月で迎えた当初から抱っこして出かけたり、人や犬に積極的に会わせたりといった社会化を意識してきました。